高専助教への就職が決まったので。
2018年3月で大学院を修了し、博士号を得た。
修了ギリギリまで就職についてまともに考えていなかった。すると1月、地元の友人が高専教員の公募情報を送ってくれた。
ダメ元で早速応募。書類選考を突破して面接。面接二日後に内定通知を貰った。
それからは怒涛の毎日だった。博士論文発表会に学位審査、引っ越し、お世話になった人達へ挨拶回り、前任者からの引き継ぎなど。
そして4月、赴任して教員としての実感が湧かないがとにかく忙しい毎日を送っている。新しい職場は清潔感があるとまでは言わないが、こぎれいで過ごしやすい。新緑のいい香りのする中、せっせと授業準備をする。
科研費は研究スタート支援への応募を目指し申請書を書いていた。しかし、引越し作業やら心労からのダウンやらが重なって、進捗が著しく悪い。締切まで時間が無い。ちょっと諦めムード。
こういう申請書をしっかり書くことが出来ないと研究者として一人前とは言えないだろう。その点でかなり自分は甘えがあるなと感じる。
授業ができるのは当たり前。その上で学内運営をこなし、外部資金を獲得できる人材が求められている。
少なくとも今の自分はどれも出来ていない。とにかく頑張らないといけない。周囲の人達は口を揃えて「体調管理をしっかりと」と言う。でも体調管理はすごく難しい。ついこの間まで学生だったからか、何事もギリギリに取り組んでしまう。その結果睡眠時間と休日を削る。もっと作業効率化、高速化しなければ。
久しぶり
久しぶりってもんじゃない。
前回の投稿は2016年8月だ。今は2017年、前回から約半年空けている。なんと年をまたいでしまっている。
何も書くことがなかったといえば無かったし、あったといえばあった。
正直言うともうこのブログには何も書かずに何となくネットに漂わせるだけ漂わせておくかという気持ちだった期間がおよそ3〜4ヶ月、なんとなく面倒くさいと感じていた期間がおよそ2ヶ月。ぼちぼち何か書くかーと考え始めたのがここ最近のことだ。
とりあえず言えることは、このブログは何か美味いものを食ったらうまかったと、そういう雰囲気で書いていこうという決意のもと作成されたものであるから、何か書くとすればこれまで食べた美味いものに思いを巡らせてみれば良い。とはいえ、ここ半年間は何を食べ何を食べなかったかなどもう殆ど覚えていない。スマホに撮りためた写真を漁り、思いつく限り書いていこうと思う。
昨年、2016年9月。マレーシアはサラワク州のミリへ行った。目的は博士論文に含めるデータのための調査で、およそ10日間ほどの滞在だった。
ミリはムスリムと華僑が多い街だった。よって現地で食べたものは主にハラル料理と中華だ。初日、宿泊したホテルにほど近い中華系の屋台が集まるフードコートのようなエリアにて朝食をとった。ミリにはこういった中国人向けのフードコートが点在しており、イスラム教が強い国とはいえ豚肉も食べられる。
ここで頼んだのは、アイスコーヒーとビーフンのスープ。
ひと目見て、「これは辛いかも」と思えるスープだった。しかし一口飲んでみると思いのほか爽やかな酸味があり、魚介の出汁がよく出ておりパクチーやレモングラスだろうか、香辛料が強く効いている感じがする。これにシトラスを絞り入れる。
中に入っていたのは米で作った麺、所謂ビーフンのようなものだった。ビーフンは好きだ。普段日本で食べるのはケンミンの焼きビーフンだけど。
このトムヤンクン風ビーフンスープは、全然辛くないかと言われるとそうでもなく、丁度いい辛さでとても美味しかった。
東南アジアに来た以上は口に合わない食事も辛すぎる食事も食あたりも予想し覚悟も出来ていたのだが、結果から書くとその心配は不要だった。マレーシアで食べた食事はほぼ全てちょうどいい辛さで、素朴で美味しいものが多かった。
この朝食を食べた後、すぐに調査地となる国立公園へと向かった。国立公園内には宿泊できる研究施設があり、ほぼ全日程をそこで過ごしたのだが、あいにく国立公園内で撮影した写真をインターネット上にアップロードすることは出来ないきまりになっていた。
私は、国立公園内で起きた色々な出来事をつらつら書くことができるが、今回はそれをしない。このマレーシアの旅を総括すると、恐らく全体を通してただ疲れたという感想になってしまうからで、書いたところで書く本人も恐らく読むあなたも全く面白くないだろう。
そろそろ色々なタイムリミットが迫ってきている中でこんな文章を書いたのはただの現実逃避でしかないのだが、それでも何もせず時間が過ぎるより大分マシだと思える。
今日はそんな気分。
木古館(きんこんかん)
近頃は週1ペースでオープンハウスの受付バイトをしている。
朝9時に不動産屋に行き、営業担当の社員の車で現場の新築物件或いは中古物件のオープンハウスに連れていってもらう。その日の担当物件について軽くレクチャーを受け、あとは物件の前にテーブルと椅子を出して内覧のお客さんが来るのを待つ。
一日中待つ。ひたすら待つ。客が来たら担当営業の社員に電話して来てもらう。仕事はほとんどそれだけの恐ろしく簡単なアルバイトだ。辛いことと言ったら、家の前に日除けが無い物件だと日差しが辛いくらいか。
どの物件担当になるかはその日になるまでわからない。私は毎度毎度どこの物件担当になるかを少しだけ楽しみにしている。知らない町に行くのは楽しい。そこがどんな街で、近くに何ていう駅があって、こんな公園があって、こんなお店があって…。お昼ご飯は近くのよさ気なお店に入って食べるのだが、これが何より楽しみである。何てことないラーメン屋でも、「地元密着感」のある店舗はなんとなくタマラナイ感じがする。味よりも雰囲気を楽しむ感じ。というわけで、私は今のところこのアルバイトを気に入っている。
先日行ったオープンハウスは、これまでにないくらい駅から遠く、これまでにないくらい周りに何もない住宅地だった。周りに飲食店は見当たらず、15分歩いて一番近いコンビニでお昼を調達するものやむ無し、とややガッカリしていたところ、担当物件の目と鼻の先に不思議な店があるのを発見した。
外から見ると大きな蔵で、「木古館」と書いた大きな看板が掲げられていた。道路には「営業中」という旗が昇っていたためどうやら飲食店のようだと見え、近いし面白そうだしとにかく入ってみることにした。
店に入ってみるとやや予想通り、しかしやはりその独特な雰囲気に圧倒される感覚があった。要するに木材を加工していろいろなものを作っている、というのはわかるのだが、この店が飲食店であるという事に違和感を感じた。
軽く挨拶をしつつ店に入ってとりあえず座る。椅子もテーブルもどうやら手作りらしい。テーブルの上のメニューを見ると、ランチメニュー「鶏の照り焼き定食」一つだけのようだ。若い店員さんにそれを注文し、座ったまま店の中を眺める。
「変な店でしょ、料理出来るまで店の中じっくり見てたらいいよ」
店主らしきおじさんがニコニコと話しかけてきた。「ここは何のお店なんですか?」と漠然と聞くと、「何ってことは無いけどね、俺が好きでやってるだけだから」とぶっきらぼうに返ってきた。
客は私一人だけのようだったので、気兼ねなく店の中を散策することにした。言っちゃ悪いけど、こんなへんぴな場所にあるお客さんも少なそうな変な店にしてはかなり広い。店の中はテーブルと椅子が並ぶ大広場と、3つ4つの囲炉裏のある小部屋に別れていた。大広場には所狭しと木材の家具やら置物やらよくわからないものが並んでいる。奥に進むと小さなライブ・ステージがあり、どうやら夜になるとここで歌を聞きながら食事ができたりもするようだ。
食事が来た。
出てきた料理はいい意味で期待を裏切って来た。安心感のある鶏の照り焼き定食。
なにもかもおいしかった。料理が美味しかったのは勿論だが、木の香りが漂う蔵の中で食べる料理は一段とおいしく感じる。味噌汁のニラはシャキシャキで、瓜の浅漬はシャキッとさわやかで、味の濃い豆腐には刻んだミョウガが乗っている。鶏肉は柔らかく、サラダもおいしい。ご飯のおかわりは無料と聞いて、早速おかわりを注文した。
思いの外満足な昼食だった。これで午後のバイトも頑張れる。まぁ頑張るようなバイトじゃないけど。
ポルトガルにて②
現在ポルトガルは午後11時。私は今チェ・バーなる酒場にいる。
縦に広いバーの中は色とりどりのライトで照らされ、やや高いところにあるステージでは客や従業員がカラオケを楽しんでいる。
ポルトガルにて①
私は今、とある交換留学プログラムに参加している。
それまでは、外を出て5歩歩くだけで財布が無くなるような世界なんか末恐ろしくて行けるものかと思っていたものだが、飛行機代15万円に生活費8万円くれると言われると途端に乗り気になるのだから、やはり人間金で如何ようにも変わることが出来るのである。
行き先はポルトガル。たった2週間の短期留学で、私としてはもらったプログラムのどのコマにも興味が沸かないのだが、日本から離れて研究対象の生物を捕獲するということには唯一胸が高鳴るものがあった。
現在宿泊先のドミトリーでブログを書いている。小粋に旅日記を毎日付けようか勘案し続けた結果、何もせず5日が過ぎてしまった。暇つぶしに見ていたはてなブックマークに影響されて、なんとなくまた日記をつけはじめたくなった。まぁいつでも辞められるブログなら毒にも薬にもなるまい。
昨日は国際交流イベントが開催され、ロシアだのブラジルだのヨーロッパ諸国だのカメルーンだの韓国だのから来た留学生達がお国自慢を15分ずつ喋り散らすだけのイベントだったが、我が国日本から来た他の留学プログラム参加者はそれなりに他国の人間と会話をし、立派に国際交流をこなしているようだった。
私はといえば、元来人前で喋ることは大好きな代わりに初対面の人と会話することに恐怖を覚える性分で、どうもイベントの合間の休憩時間などはトイレに立った後は会場の隅っこではてなブログのコメントなぞ読んでニヒニヒニヤついているだけなのである。
真面目な事を考え始めると、大学院博士課程1年目の学生が学振の申請書の草案も論文の原稿も上げずにポルトガルで2週間ダラダラと過ごしている事実が将来への不安となって心臓が押しつぶされそうになるのでやめる。今は特に何も考えずにニヘラニヘラ風に流されるように生きていきたい。
昨日はポルトガルはファロの旧市街のやや北にあるA VENDAというレストランに入った。お昼はランチメニューが決まっているらしい。
まずはスープ。人参のポタージュ?トマトも入ってるっぽい。優しい味。散らしてあるネギが凄くいい仕事をしている。パンを浸してもおいしい。
続いてメインディッシュ。豚肉とサラダと芋の付け合せ。豚肉はローズマリーとローリエで香りを付けてじっくり焼いてある。これが凄くおいしい。芋も紫芋・じゃがいも・さつまいものような甘い芋が混じっててどれもおいしい。
支払いは6ユーロだった。細かい小銭が無くてチップで1ユーロも払ってしまった。
今日も飯がうまくて良かった。